手塚治虫著 名作『火の鳥』(復活編)まとめ・感想
前回の「鳳凰編」に引き続き今回は
「火の鳥 復活編」のまとめ・感想を記したいと思います。
手塚治虫著 名作『火の鳥』(復活編)まとめ・感想
『火の鳥』ストーリー
1954年から手塚治虫がライフワークとして発表してきた漫画作品である『火の鳥』。
古代から未来、地球や宇宙を舞台に人間や生命の本質について
不死鳥とされる「火の鳥」と関わり翻弄され続ける人間模様を描いた作品です。
「黎明編」「未来編」「大和編」「鳳凰編」「復活編」「望郷編」「乱世編」「宇宙編」「太陽編」と複数の編から成り立っており、全てが1つの物語で完結しています。
過去と未来を行き来しており、作品全体で無限の輪廻転生を表した作りになっている本作。
不死とは何か?
幸せとは何か?
人間とは何か?
生きるとは何か?
いつの時代においても変わらない人間のテーマや苦悩に寄り添う作品です。
『復活編』ストーリー
2483年。交通事故で死んだレオナは、ニールセン博士の再生手術で生き返りました。 それは死人を復活させる実験の第1号だったのです。 しかしその後遺症が残り、レオナは人間がみにくい無機物に見えるようになってしまいました。 そんなある日、レオナは事務用のロボット・チヒロと出会います。 チヒロは何の表情もない冷たい金属製のロボットでしたが、レオナにはそれが逆に美しい女性に見えるのです。 レオナはチヒロを愛するようになり、感情を持たないはずのチヒロにも、感情が芽ばえ始めました。 そして、結婚しようとチヒロをさらったレオナは、逃亡先で宇宙移民を密輸する闇商人たちと出会います。 闇商人の主治医であるドク・ウィークデイは、レオナの遺言を聞き入れ、レオナの心とチヒロの心をひとつにしてロボットを作りました。それが、感情を持つロボット・ロビタの誕生だったのです。
(手塚治虫オフィシャルサイトより)https://tezukaosamu.net/jp/manga/396.html
『復活編』感想
不死を求めて火の鳥の生き血を求めていた青年が
血を飲まずに殺されたのに、再生医療を施されサイボーグとして蘇る今作。
人工的に作られた生命で長生きすること、
不老不死の血を飲んで長生きすること、
これらは定まった運命を無理矢理変えるものであり
不幸の始まりなのだと思いました。
それだけでなく、遺産相続や手柄を横取りしようとする人間や
他人の体を取り換えてでも生きようとする人間の醜さもふんだんに織り込まれていました。
欲を否定するわけではありませんが、
他人を蹴落としてでも自分の欲望に貪欲であることも不幸だと身にしみて感じました。
おわりに
永遠の命は近い未来再生医療で可能になるかもしれません。
しかし、問題はなぜ生きるのかということです。
不老不死=幸せではありません。
限られた人生だからこそ精一杯生きようと思えるものです。
たとえ短くても幸せに生きることは可能です。
人間とロボットの境界線が低い今作は、
近い未来を示唆しているようでなりませんでした。
是非、読んでみてください。