手塚治虫著 名作『火の鳥』(望郷編)まとめ・感想
前回の「復活編」に引き続き今回は
「火の鳥 望郷編」のまとめ・感想を記したいと思います。
手塚治虫著 名作『火の鳥』(望郷編)まとめ・感想
『火の鳥』作品説明
1954年から手塚治虫がライフワークとして発表してきた漫画作品である『火の鳥』。
古代から未来、地球や宇宙を舞台に人間や生命の本質について
不死鳥とされる「火の鳥」と関わり翻弄され続ける人間模様を描いた作品です。
「黎明編」「未来編」「大和編」「鳳凰編」「復活編」「望郷編」「乱世編」「宇宙編」「太陽編」と複数の編から成り立っており、全てが1つの物語で完結しています。
過去と未来を行き来しており、作品全体で無限の輪廻転生を表した作りになっている本作。
不死とは何か?
幸せとは何か?
人間とは何か?
生きるとは何か?
いつの時代においても変わらない人間のテーマや苦悩に寄り添う作品です。
『望郷編』ストーリー
恋人のジョージと少女ロミが無人の惑星エデン17で、ふたりだけの新生活を始めた矢先、ジョージは事故で死んでしまいました。 しかし、そのときロミはジョージの子どもをみごもっていました。 ロミはその子どもと自分だけで星を守る決心をし、ジョージの子どもとの間に子孫をつくるために人工冬眠を繰り返します。 けれども、それを何度くりかえしてもなぜか男しか生まれません。 ところが、ロミが何度目かの冬眠から目覚めると、そこにはロミの子孫たちによって、エデンという豊かな街ができていました。 火の鳥が、宇宙の不定型生物ムーピーとロミの子孫との間に子どもをつくらせたのでした。 ロミはそのエデンの女王になりましたが、しだいに地球へ帰りたいという思いがつのってくるのでした。 ある日、エデン人の少年コムは、禁断の山奥で、岩でできた不思議な宇宙船を見つけ、それに乗って、ロミとともにまだ見ぬ故郷・地球への旅に出たのです。
(手塚治虫オフィシャルサイトより)https://tezukaosamu.net/jp/manga/398.html
『望郷編』感想
これほどまでに逞しく生きる女性はいただろうか?と思えるロミが主人公の今作。
繁栄することの難しさと滅亡することの簡単さが描かれた作品だと思います。
普通なら未開惑星でたった一人になってしまった時点で諦めてしまいそうなのに、
自分が子供達と子孫を繁栄させていこうという考えが凄すぎて
同じ女性として応援しながらも少し心苦しくなったものです。
金儲け主義者が星を破壊してしまうという悲しい結末もさることながら、
一つの星を作るため懸命に生き抜いた地球人ロミに感動させられ
出会えてよかったと思える漫画作品の一つとなりました。
外からの視点を描くことで、
今、私たちが生かされている環境や地球のありがたさを再認識する
そんな機会を与えられた気がしました。
おわりに
バラバラだった他のストーリーとの繋がりが解明されるこの望郷編。
中々普段考えないようなこと考えさせられ
視野を広く持つことの大切さに気づく
とても刺激が強い物語でした。
他の作品に比べ、読み終わった後の爽快感が味わえた気がして
個人的には大好きな回です。
是非、大人になった今読んでみてはいかがでしょうか?