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目黒のさんま

 


毎年東京・目黒ではさんま祭りが開催されています。
 
無料で青空の元、
秋刀魚が食べられるとあって
毎年大勢の人で賑わっているものです。
 
 
しかし、目黒には桜で有名な川はありますが
秋刀魚が取れる海はありません。
 
 
 
では何故サンマ=目黒なのでしょうか?
 

「秋刀魚は目黒に限る!」
という締め言葉で有名な落語
『目黒のさんま』を紹介したいと思います。
 
 

目黒のさんま

あらすじ

お城暮らしのお殿さま。目黒へ鷹狩に出かけると、さんまを焼くにおいに気付きます。農家に無理を言って食べたそのさんまのうまいこと! お城に戻っても忘れられなくて…「MARC」データベースより

 

解説

日本橋の河岸から取り寄せた高級なサンマより

山しかない目黒で取れるサンマがいいと言ったオチで終わる今作。

 

 

優しさが仇になる

お腹を壊さないようにと脂を抜かれ、骨を抜かれ

つみれ状にされたサンマ

には優しさが詰まっていましたが

 

それは美味しいものからかけ離れてしまうものでした。

 

 

現代の私たちも同じような経験をした事があると思います。

 

 

空腹の時にフレンチのフルコースを少量づつ食べるより、

牛丼を頬張りたくないですか?

 

 

体にいい、健康だからといって

ヘルシーで薄味のダイエット食ばかりだと

嫌になりませんか?

 

 

作り手の狙いと優しさは

時として嬉しくないという事です。

 

 

目黒には海はなく、お殿様の無知を笑う落語話ですが

どうしてもお殿様の気持ちが分かってしまうものなのです。

 

 

サンマは下品⁉︎
昔、秋刀魚というのは下魚と呼ばれる庶民しか食べないものでした。
お殿様が食べるのは鯛、鯉、鮎といった 脂の乗らないものが主流だったものです。
 
 
実はサンマには栄養素も多分に含まれており、
不妊症の予防にもつながったとか。
 
 
不妊で悩む奥方様達に教えてあげたかったものですね。
 
 
それが今では秋の味覚とまで成り上がったのですから
なんとも面白いものですよね。
 
 
 
毒見役を経ての食事
お殿様というのは食べるもの一つをとっても毒殺されないよう皆が注意するもの。
 
料理人はもちろん、その料理人を監視する監視役までいたそうです。
 
 
なので焼き魚であろうと毒見役を経てからお殿様の元に出されるので
調理後2時間し冷めきったものばかりを食していたと言われています。
 
 
空腹状態で巡り合った焼きたてのサンマが
どれほど美味しかったのかすぐに想像できるものです。
 
 
お城では毒見役や監視役までいて徹底管理されていた食事ですが、
このように外で好き放題食べていたとなると
家来も憤慨ものですね。
 
 
 
 

おわりに

食材一つがここまで語り継がれ有名なのは稀なもので。
 
そこまで長い話ではないにしても
昔の文化について色々と学べるので
興味深い作品だと思います。
 
 
落語で聴くも良し、
絵本や本で読むも良し。
 
 
いろんな味わい方をしてみては?
 
 
 
 
 
さぁ、次は何を読もうかなぁ。