『河童』
はじめに
今回は京極シリーズである『河童』の紹介です。
3ヶ月連続出版の2作目。
前回はその初回作『鬼』のレビューを書きました。
そちらもよければご覧ください。
今昔百鬼拾遺『河童』
あらすじ
昭和29年、夏。複雑に蛇行する夷隅川水系に、次々と奇妙な水死体が浮かんだ。3体目発見の報せを受けた科学雑誌「稀譚月報」の記者・中禅寺敦子は、薔薇十字探偵社の益田が調査中の模造宝石事件との関連を探るべく現地に向かった。第一発見者の女学生・呉美由紀、妖怪研究家・多々良勝五郎らと共に怪事件の謎に迫るが―。山奥を流れる、美しく澄んだ川で巻き起こった惨劇と悲劇の真相とは。百鬼夜行シリーズ待望の長編! 「BOOKデータベース」より
感想
地方に伝わる河童の違いがストーリーの大半を占めていたように思います。
そこから「尻だし男連続殺人」や「男専門覗き見事件」と
奇怪な事件につながっていく様子が面白かったです。
とにかく「尻」中心の話で
河童=下品?
というイメージをもったざるを得なかったように思います。
また、殺人数的には多いものの
一つの殺人に重きを置くわけではないので、
いい意味で怖くないです。
終盤の様子はどちらかというと美しい描写が浮かんだ程です。
ミステリーやサスペンスというよりは
知識が多く学問要素が強い雑談をずっと聞いている、という感じがしました。
それでいてページをめくる手が止まらない、
京極夏彦氏特有の引力に「参った!」と言わざるを得ない作品でした。
おわりに
前作の『鬼』、今作の『河童』に続き次作『天狗』もすでに発売されています。
京極シリーズでお馴染みの京極堂が出ないことに
どこはかとなく寂しさは感じますが、
それぞれの作品に個性があってどれもおススメなものです。
また『天狗』のレビューも近々アップしますのでどうぞお楽しみに。